イメージとは? 頭の中にわいてしまう悪いイメージの対処法
[初めに]
「来週のプレゼンテーションのことを考えると、何度も頭の中で失敗するイメージをしてしまって不安だ」
「会議で自分の意見を発表すると、皆から笑われるのではないかとイメージしてしまい、発言するのが怖い」
「好きな人に告白したいけど、振られるイメージが邪魔して勇気が出せない」
止めたくても頭の中で何度も繰り返されてしまう「ネガティブなイメージ」に悩まされている人がいると思います。
よく「イメージをする」という言葉をよく聞くと思いますが、今回はそもそも「イメージ」とは何か?そして、どうすれば自分を苦しめようとする「ネガティブなイメージ」と上手に付き合えるのかについて紹介したいと思います。
※この記事は以下の本の内容から紹介しています。
幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門 (単行本)
[テーマ]
・そもそもイメージとは何か?
・ネガティブなイメージに苦しまない方法とは?
[そもそもイメージとは何か?]
イメージとは何かを説明する前に、頭の中で作り上げられるものの種類について説明したいと思います。(※前回の「脱ヒュージョン」の記事でも触れた内容となります。)
1つ試していただきたいことがあります。
あなたがよく利用している喫茶店やカフェに行った時のことを想像してみてください。
頭の中でおしゃれな装飾やテーブルなどの店内の風景が絵として出てきたかもしれません。これを「イメージ」と呼びます。
また、毎回注文しているコーヒーの香りや、トーストのバターの香りを感じたかもしれません。これを「感覚」と呼びます。
または、「カウンターで注文する」「席に座る」「コーヒーを呑みながらくつろぐ」などの言葉が頭の中に浮かんだかもしれません。これを「思考」と呼びます。
まとめると、
- 「思考」=頭の中の言葉
- 「イメージ」=頭に浮かぶ絵
- 「感覚」=体の中に起こる感じ
今回は、頭の中に浮かんでくる絵(動画や画像など)に対する対処法をテーマとしています。
冒頭の例で紹介した例を用いて再び説明すると、
「プレゼンの本番で緊張して話せなくなり、皆から笑われたり失望させたりする動画」
だったり、
「好きな人に思い切って告白したが、すでに付き合っている人がいることがわかり、告白したことを後悔している自分を映した画像」
などを頭の中に描くことが「イメージ」です。
後程紹介する対処法は、実際に読者の皆さんも頭の中で想像して練習していただければと思っています。
なので自分の頭の中にあるものが「思考」なのか「イメージ」なのか「感覚」なのかをきちんと認識できるようにしておいてほしいです。
[ネガティブなイメージに苦しまない方法とは?]
イメージについて説明ましたので、ネガティブなイメージの対処法を紹介します。
それは、頭の中に浮かんでくる動画や画像を、頭の中で「加工」してみることです。
こうすることで、自分が作り上げた動画や画像を、現実に起こる出来事として捉えるのを防ぐことができます。ただの動画や画像として認識できれば、「避けよう」「追い払おう」などと思って意識しなくなるのです。
具体的な例を紹介しますが、
実際に読者の方々も自身が思い出したくないネガティブなイメージを1つ考えてみて、以下の通りにやってみてください。
そのイメージが動画ならば、テレビ画面の中に流れていることを想像して、
- 二倍速
- スローモーション
- 白黒
- 左右反転
- 上下逆
などでそれぞれ再生してみる。
または、その動画に字幕を付けてみたり、動画に好きなテーマソングを流してみたりする
そのイメージが画像なら、
- Tシャツにプリントされている絵として、
- 体の一部に描かれたタトゥーの絵として、
- お店に張ってあるポスターの絵として
描かれている状態を想像してみる。
最初の無加工の状態よりも、加工した状態で想像したほうが苦しい気持ちにならなかったと思います。
もし、苦しい気持ちが消えない場合は、まだ嫌なイメージに心が乱されているということなので、1日5分でもいいので継続して練習してみてください。
慣れてくると、ネガティブなイメージが頭の中からわいて出てくる度にこの方法を試せるようになってきます。
[最後に]
今回紹介した対処法は、物事を観察的な視点で見る練習であり、この観察的な視点は大切なことです。
以前の記事で「脱ヒュージョン」について紹介しました。その記事では、ヒュージョンとは、頭の中に考えたものを現実ものとして捉えてしまうことであると説明しました。
つまり、ネガティブなイメージをして苦しむ理由は、それを現実として捉えてしまっていることに原因があります。
しかし、観察的な視点でイメージを見ることにより、ヒュージョンを防いでいるのです。
観察する視点ができるようになると、ネガティブなイメージは文字通り「ただの絵」として認識するのです。
[本の紹介]
タイトル:幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない
著者:ラス・ハリス
出版社:筑摩書房
幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門 (単行本)