私たちが決断ミスをしてしまう理由 ~視野狭窄を防ぐ~
「この道を選んで、良かったんだよな?」
恋愛、仕事、人間関係
日常で私たちは数多くの選択をしていると思います。
時には考え抜いて選んだはずなのに、その選択が正しいのか不安に思うこともあります。
今回紹介する本では、選択のミスを防ぐための数多くのアドバイスが書いてあります。
どうして人は、冷静に考えたら間違いである選択をしてしまうことがあるのか?
いくつかの選択ミスの原因の中で、今回は視野狭窄(しやきょうさく)についての対策を説明します。
決断ミスをしてしまう理由~視野狭窄とは~
はじめにお伝えした通り、私たちが選択を誤る原因の1つは、視野狭窄(しやきょうさく)です。
視野狭窄とは何か選ぶときに、他の選択肢を考慮することができず狭い範囲での選択肢しかないと思い込んでしまうことです。
これにより、もっといい選択があったはずなのに、そのことに本人は気づかず間違った選択をしてしまうのです。
例えば、あなたは仕事が辛くて、ストレスが溜まっている状態です。
もう心身ともに疲弊しており、これ以上は苦しみを耐えられない状況だったとします。
あなたは会社を辞めますか? 辞めませんか?
この質問に対して、「辞める、辞めない」で答えた人は、視野狭窄に陥ったうえで判断していると言えます。
会社を辞めなくても部署移動や、上司に相談するなどの別の選択肢もあります。
仕事が辛い原因もわからない状態で、「辞める、辞めない」を選ぶのは狭い範囲で選択を行うこととなり、間違った選択をしてしまう可能性を高めてしまいます。
「自分はちゃんと複数の選択肢を用意して判断している。」
と思う人もいるかもしれません。
でも、会社を辞める、恋人と付き合う、どの企業に投資をする、誰を信頼する、などの重要な決断や、焦っているときに行う決断ほど、視野狭窄に陥りやすいのです。
さらに、当の本人は視野狭窄に陥っている事すら気づかないのです。
選択の種類
何かを決断したときのことを振り返ってみると、多くの人は「どっちにするか?(Aにするか、Bにするか)」という2択以上の選択をイメージすることが多いと思います。
しかし、人は1択の決断も行っているのです。
この1択の決断とは、例えば
Aさんと付き合うか、断るか
友達と遊びに行くか、行かないか
今日は勉強をするか、しないか
などです。
1択の決断とは、「Aにするか?Bにするか?」ではなく、「Aに対して、YesかNoか?」を選ぶことを指します。
視野狭窄に陥ると、1択の選択をやりがちになります。
この本では、このような目の前の情報だけ重視し、周りを見ないことを「スポットライト効果」と呼んでいました。
スポットライトが当たっている場所ははっきり見えるけど、当たっていない場所は暗くてよく見えません。
視野狭窄に陥った上で選択をすると、周りからは、「あの人は何であんな愚かな選択をしたのだろう?」と思われているにもかかわらず、自分はその選択肢しかスポットライトが当たっていない状態になるのです。
間違った選択を回避するためには、スポットライトの光を広くしたり、他の場所にも光を当ててあげたりする必要があるのです。
視野狭窄は人の本能的な特性であり、デメリットばかりではない
余談ですが、視野狭窄は人間に備わった本能的な機能が作用して起こります。
人間は、何か重大なことに着目する・思考する・行動するなどの時は、周囲の状況にまで気にかけると目の前の出来事に集中できません。
目の前の問題や課題 (例えば、太古の昔で言えば、目の前のサーベルタイガーから逃げること) を対処するためには、その対象だけに意識を向けなければ生き残れなかったのです。
(自分の身に危険が及んでいるのに、周囲を気遣っているヒマは無いですよね。)
この本能的な機能は、私たちにとってもメリットはあります。
何か難問を解いたりデータを分析したりするときなどは、この集中する力が役立つのです。
何をするべきなのかという目標が明確になっている時は、視野狭窄に陥ったほうが集中でき、高い生産性を発揮できるのです。
ただ、迷っていることに対して選択をするときは、視野狭窄によって間違った選択を引き起こす可能性が高まるため、状況によって視野狭窄は使い分けが必要だということです。
決断ミスを防ぐ対処法3つ紹介
視野狭窄の対策を3つ紹介しますが、どの対策も狭まった選択の幅を広げることを目的とします。
そうは言っても焦っている時や重要な決断をするときは、冷静さを失ってしまい他の選択肢を模索する余裕がないかもしれません。
それを防ぐために、以下の考え方を普段の生活で取り入れて、選択の幅を広げる思考を身に付けていきましょう。
1.「Aを選ばない。代わりに何をする?」を考える
視野狭窄に陥った際に、人は以下のような1択の選択をしてしまう傾向があります。
「Aを選ぶか? or Aを選ばないか?」
これを、
「Aを選ぶか? or Aを選ばない。代わりに何をする?」と問いかけてみるのです。
何かを選ぶとき後者の問いかけをするように心がけていれば、2択以上の選択肢を考えることになるため視野狭窄を防げます。
例えば、
- Aという会社を買収するか?しないか?代わりに買収する金で何を投資するか?
- 5,000円のゲームを買うか? or 買わないか?代わりに5,000円で何が買えるのか?
です。
対策としてはシンプルすぎるように思われるかもしれませんが、視野狭窄に陥っているときほど、人は1択の選択をしていることに気づいていないものです。
また、この問いかけはお金以外の時間にも当てはめて考えることができます。
- 「会社の人と2時間飲み会に行くか? or 飲み会に行かず、代わりにその2時間で何をするか?」
ノリで行こうとしている飲み会に参加するよりも、家で好きな映画を見たり好きな人と過ごしたりする時間の方が大切だと気づけるかもしれません。
日頃のコンビニやスーパーで買い物をするときや、誰かと遊びに誘われた時などに考えてみましょう。
2. 予防マインドセットと促進マインドセットの2軸で考える
選択の幅を広めるという観点で、他に大切なことは、予防マインドセットと促進マインドセットの2つの要素を考えてみることです。
予防マインドセットとは、悪い結果を避けようとする考え方です。
促進マインドセットとは、いい結果を求めようとする考え方です。
例えば、仕事でストレスが溜まっていた場合、ストレスを回避するために仕事を辞めたり嫌な同僚との交流を避けたりなどの対策が、予防マインドセットの考え方です。
反対に、自分が楽しいと思えるような行動(例えばジムに通って運動する、仕事を早く終えて家族と過ごす)などの行動によって、ストレスに打ち勝とうとする対策が促進マインドセットの考えです。
一般的には自分の課題や困難に対して、予防マインドセットの見方でしか考えない場合が多いと思います。
しかし、画期的なアイデアや解決策は促進マインドセット的な思考から出てくる場合もあるのです。
このようにそれぞれ別の視点から物事を考えるために、2つのマインドセットを意識した選択が重要となります。
3「A or B」ではなく、「A and B」で考える。
最後は、新しい可能性を模索することで、選択の幅を広げる方法です。
AにするかBにするか、で迷った際は、AもBも満たせる方法は無いか?を考えてみるのです。
つまり、新しい選択肢「C」を生み出す考え方です。
「そんな簡単に両方を満たす選択肢が、出てくるわけがない。」
と思われるかもしれません。
確かにその通りだと思いますが、少なくとも視野狭窄を防ぐことができます。
AもBも両方満たす案を考えることは、今までと思考を変える必要があります。
いろんな角度から、実現可能な方法が無いかを試行錯誤していく必要があるからです。
これをするだけでも凝り固まった考えから選択することはなくなり、狭かった視野が広がるのです。
できる、できないにかかわらず、AもBも満たす方法はあるのか?と考えること自体に価値があるのです。
最後に
今回は、選択ミスを引き起こす視野狭窄を防ぐための方法について。紹介してきました。
視野が狭まるのは、何かに集中することができるというメリットがある一方で、周りが見えなくなるというデメリットも引き起こします。
重大な決断をしなければいけない時ほど、陥っている場合が多いので、今回紹介した知識が皆さんがいい選択が行える手助けと慣れればと思っています。
参考書籍には、このほかにも選択ミスを引き起こす原因とその対策が、紹介されていますので、良ければ手に取って読んでみてください。
以上で、終わります。