イライラちゃんとドキドキのブログ

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予想どおりに不合理 ~「相対性」という罠~

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はじめに

突然ですが、次の質問に答えてください。

あなたはカフェで以下の中から注文をするならどっち?

  • コーヒー:200円
  • コーヒーとケーキ:400円

 

コーヒーだけ飲みたい人もいれば、ケーキが食べたい人はコーヒーとケーキのセットを選ぶと思います。

では、今度も以下から注文したいのを選んでください。

  • コーヒー:200円
  • ケーキ:400円
  • コーヒーとケーキ:400円

 

今度は「コーヒーとケーキ」を選ぶ人が最初の質問よりも多いはずです。

なぜなら、「コーヒーとケーキ」の金額は、「ケーキ」のみの金額と同じなので、「セットで頼んだほうがお得じゃん」と思うからです。

 

確かにセットを注文したほうがお得なのかもしれません。

ただ、それと同時にもしお店側が「コーヒーとケーキ」の注文数を増やしたいなら、「ケーキ:400円」をメニューに追加するだけで、実現できるということです。

 

つまり、お店側はお客さんの注文の選択を、簡単に誘導できたことになります。

(ケーキ単品は、「コーヒーとケーキ」を注文させるための囮なのです。) 

 

~参考書籍~

 

周りの皆も、同じような選択をしてしまう

著者が実施した実験では、100人の実験参加者に最初に皆さんに質問したような内容で、2択と3択の時で選んだ回答数を集計しました。

  1.  2択(この例でいうと、コーヒーorコーヒーとケーキ)の時
  2. 3択(この例でいうと、コーヒーorケーキorコーヒーとケーキ)の時

※それぞれの選択肢に対する金額の割合も、この例と同様です。

 

結果、この例でいう「コーヒーとケーキ」を選んだ人数は、「1.」よりも「2.」の3択のほうが多かったのです。(「2.」質問の、この例でいう「ケーキ」だけを選んだ人は、0人でした。)

 

実験結果から、「1.」の2択の時(コーヒーorコーヒーとケーキ)と金額(200円or400円)の条件は全く変えていないにも関わらず、人の選択を変えることができることが「2.」で証明されました。

 

この原因は、人の「相対性」という不合理さによってもたらされるものです。

 

 

予想どおりに不合理 ~「相対性」という罠とは?~

人は常に何かと何かを比べて生活しています。

 

例えば、

「先ほど質問した内容のようなカフェでどのメニューを注文しようか?」

「スーパーで買い物するなら、どっちのお店の野菜がお得だろうか?」

「車や家を購入するときにどんなものを選ぶか?」

 

さらには、

恋人はどちらに決めるか?

働くならどっちの企業に就職するか?

会社を休むならいつにするか?

自分と同期の年収はいくら違うのだろうか?

 

人はありとあらゆるものを、相対的に比べて選択をしているのです。

また、人は比べやすいと思ったものを一生懸命比べ、比べにくいものは無視する傾向もあります。

あなたの身の回りにもこの相対性の特性を利用し、選択を誘導する罠が散らばっていると思います。

 

相対性を利用したテクニックを紹介 ~劣化版を用意すること~

上の例の「コーヒーとケーキ」でいうと、お客さんは2択の時は、どちらの選択が得であるかを比べる対象が無い状態です。

しかし、「ケーキ」という選択が増え3択になったとたん、「ケーキ」と「コーヒーとケーキ」は比べられるようになり、この2つに意識が向きます。

 

「ケーキ」は「コーヒーとケーキ」と値段が同じであるため、金額の面で「ケーキ」は「コーヒーとケーキ」の劣化版という位置づけになります。

これにより、「コーヒーとケーキ」の存在は際立つのです。

また、「コーヒー」だけの選択肢は、比べる対象が無いため、「コーヒー」だけを注文することのメリットを判断しづらくなってしまいます。

 

劣化版を用意するという考えは、他の場面でも利用することができます。

 

モテたいなら、劣化版を用意せよ

合コンでモテたい場合は、自分と顔や体の特徴が似ていて、自分よりもかっこよくない友達を連れて行くと、異性は相対的に見て、あなたを魅力的だと判断するでしょう。

(※くれぐれも、誘う友達にこの狙いがバレないようにすること)

だから、逆に自分よりもかっこいい友達から合コンに誘われた時は注意しましょう(笑)

 

 

まとめると劣化版を用意することの特徴は以下の2つです。

  • 劣化版(あなたと特徴が似ていて、あなたよりかっこよくない友達)がいると、劣化版と比較された対象(あなた)は選ばれやすくなる。
  • 比較できない対象(合コンに参加している他のライバルたち)は選ばれづらくなる。

 

最後に

この本の著者であるダン・アリエリーさんは18歳の時に全身に火傷を負い、病院での治療生活を何年か経験しました。

治療中は身の回りの人とは異なる生活を送り、日々の行動を第三者の視点から観察するようになったそうです。

 

日常の様々な行動について、なぜそうするのか?と考えるようになったのです。

また、治療中に伴った「痛み」について考えるようになり、退院後に入学した大学では「痛み」に対する研究を最初に実施しました。

 

この本はダン・アリエリーさんが、普通の人とは異なった観点からものの見方をするきっかけとなった、火傷治療の話から始まります。

彼の疑問に対する探求心や好奇心は、本で紹介されている実験の内容からもうかがえます。

数々の実験の中には、思わずクスっと笑ってしまうような内容や、「そんなことまでやっちゃうのか」と驚くようなものまでがあります。

 

しかし、それらの実験結果からは、人の機能は完璧なものではなく、非合理的に働いていることを証明しています。

人はある条件下では、スイッチを押されたように非合理的な行動をとってしまうのです。

 

この本を読めば「この状況では、こんな行動をとってしまうのだ」ということを理解できると思います。

今回紹介した知識を、自分の身の回りに起こっている出来事にも当てはめてみてください。