「天才科学者はこう考える」の書評 ~2つの思考を学べる~
この本は世界中の「天才」と呼ばれる著名人たちが、どんな考えを持っているのかについて書いてあります。
この本に書いてある『考え方』は、自分の思考に新しい刺激を与えてくれました。
日常生活で問題に直面した際に、新しいアプローチ方法や違った角度からのアイデアを思い浮かべることへの手助けになるはずです。
1つ1つの考え方や意見はどれも勉強になる事ばかりなのですが、今回はすごくザックリに個人的にこの本を通して学べたことを2つにまとめてお伝えしようと思います。
その2つとは、
- どんな常識も、完全に正しい事なんて無い
- 「失敗」に対する科学者の捉え方
では、詳しく話していきます。
どんな常識も、完全に正しい事なんて無い
科学者の世界では、どんなに周りから正しいと思われている事であっても絶対的なものは存在しないという見方をしているようです。
これは今までの歴史を見ても、わかることです。
例えば、「天動説」です。
昔は地球を中心に他の惑星が周っているというのが常識だと思われていましたが、皆さんが知る通り「地動説」が証明されていき、時代の流れとともに天動説という常識は消えていきました。
また別の例だと、「神様」もそうです。
昔は神が人間を作ったという物語が信じられており、神は絶対的なものであり神の教えに従うことが常識でした。
そんな神様でさえも人間の科学の力で、神様は存在しないことを証明してきました。
(神様によって引き起こされていると思われてきた超常現象が、科学によって解き明かされてきたからです。)
以上のことから、今までの歴史で常識だと思われてきたことが何度も間違いだったと証明されてきました。
そして現在でも常識と思われていることが、未来に簡単に覆ってしまうことがあるかもしれません。
身近な例で言うと、公務員は安定、一流大学を卒業すれば将来安定、定年まで働き続ければ老後が安定、、、などの少し前まで常識だったことが当てはまると思います。
今はその常識が、覆りつつありますよね?
でも以上の内容を聞いて、こう思った人もいると思います。
「常識が常に正しいと言えないことは分かったけど、それを知ったところで私たちに何のメリットがあるの?」
確かにそうかもしれませんが、これって別に科学の世界じゃなくても当てはまると思います。
例えば、自分と意見の違う人に対して「あいつらは非常識だ」「自分の方が正しい」と決めつけて否定してはいないでしょうか。
大抵の人間関係が悪化する原因は、相手の価値観を否定することから始まると思います。
でも最初に話した「絶対的に正しいことなんて無い」という考え方があれば、相手の意見に耳を傾けることもできるのではないか?と思います。
「相手の意見に全て賛成しろ」と言っているわけではありません。
「相手も間違っていない。でも私はこっちの意見を選ぶ」と主張することで、相手を否定せずに自分の意見を伝えられるのではないかと思います。
以上の内容が、1つ目に学んだことでした。
「失敗」に対する科学者の捉え方
みなさん、「失敗」って怖いですよね?
可能なら、仕事でも勉強でも子育てでも「失敗」の回数はなるべく少なく生きていきたいと思っている人が多いと思います。
2つ目は、そんな「失敗」に対する考え方です。
この本を読んで、科学者にとって「失敗」は「プロセスの一部」だと思いました。
皆さんも1度は聴いたことがあると思いますが、エジソンの名言「私は失敗したことはない。ただ、1万通りのうまく行かない方法を見つけただけだ。」という言葉は、核心を突いているという訳です。
なぜ科学者はこのような思考があるかと言うと、 科学者にとって「研究」のゴールは無いからです。
例えば自分が研究している分野で、ある仮説を実験によって証明することに成功したとします。
普通ならその実験結果を論文などにまとめ、そして発表してしまえばゴールだと思うかもしれません。
しかし実際は発表した論文に対して、他者から異論があるかもしれません。
また、時間が経った頃に新しい説が他の人によって証明されてしまうかもしれません。
このように、いくら自分の説が正しい材料をかき集めても、「未来永劫、絶対的に正しい」ということは決めつけられないのです。
これは、1つ目に話した「全ての事柄は絶対的に正しい事なんて無い」という考え方と一致するところがあります。
科学者は『常に自分の立てた仮説が完ぺきではない』と意識することの重要性を知っています。
だから、どんな有力な説であっても疑いを持ったり、他人からの反対意見が正しいかもしれないという可能性も考慮したりしているのです。
ゴールが無いという事は、失敗を「結果」として捉えるのではなく、終わりのない道のりの「1つの過程」でしかないと捉えるのです。
例え研究が失敗しても、それはプロセスの一部でしかないという思考が根付くのだと思います。
これを聞くと、
「科学者は、永遠に研究し続けないといけないのか?」
と思う人もいるかも入れませんが、楽しいことだから続けられるのだと思います。
例えば、
- 常に新しいゲームで遊ぶ
- 美味しい料理を探して、毎日色んなお店に行く
極論を言ってしまえば、これらもある意味「研究」です。
ゲームや食べることが好きなら、ゴールなんて無くてもずっと続けられるはずです。
科学者だって自分の研究が「自分の好きな事」であっただけ、なんだと思います。
また、
「科学者はそうかもしれないけど、私たちは科学者になりたいわけじゃない」
と思う人もいるかもしれません。
ですが私たちだって「生涯安定した生活」というゴールを目指すのではなく、常に変化する時代に合わせて自分がより幸福だと思える生き方を探し続けることで、失敗に対する捉え方が変わるのではないか?と思いました。
失敗は恐怖の対象ではなく、「自分が目指す生き方に、近づいた証拠」だと思えるようになりたいですね。
最後に
今回は、本の中の細かい知識や考え方を省略して話してきました。
個人的には、「思考のバイアス」関連の話もためになりました。
バイアスとは、人が無意識に働かせてしまう思考の傾向を指します。
「こんな状況だと、人間はこういう考えや判断をしてしまいがちになる」ことです。
人間の本能によって、自分の意志でコントロールできない思考や行動についての内容も知れるのです。
これを知っておくだけでも自分が日常の中で、いかにバイアスによって支配されているのかがわかると思います。
興味を持った人は、是非本書を読んでみて下さい。
Amazonの電子書籍(Kindle)でも読むことができます。
以上で、「天才科学者はこう考える」についての説明を終わります。