渋谷の落書きと向き合う「CLEAN&ART」が行う街づくりとは?
今回の渋谷区ニュースは、渋谷サステナブル・アワード2019の大賞を受賞した、「CLEAN&ART」という団体についてです。
渋谷サステナブル・アワードとは、快適で美しい街づくりや、環境を考慮した取り組みを行っている組織や団体を表彰するイベントです。
2019年度が第1回目で、数ある取り組みの中から大賞に選ばれたのです。
「CLEAN&ART」は、街の落書きを消す活動をしています。
今回は、そんな活動をしている彼らの活動や考え方について、ご紹介します。
「CLEAN&ART」の街の落書きを消す活動について
最初に「CLEAN&ART」の活動内容についてご紹介します。
前述した通り渋谷区内にある落書きを消し、そこに壁画を描くという活動をされています。
平成30年3月から活動を始め、今までに19回の活動と約330の人たちが参加されたようです。
区役所や落書きをされて困っている人たちの依頼によって、落書きを消しているそうです。
活動を始めたきっかけとは?
「CLEAN&ART」の代表者である傍嶋 賢(そばじま けん)さんは、学生の頃に壁画を勉強しており、卒業後は荒川区で環境改善のための壁画を描く活動をされていたそうです。
活動を続けている中で、他の地域でも困っている人たちがいるのではないか?と思い、
他の地域へのリサーチを広げたことがきっかけでした。
また、メンバーとの出会いは、ゴミ拾いのボランティア活動に参加したことでした。
落書きの話に賛同してくれた4名の人たちと結成したそうです。
「CLEAN&ART」の真っ白なユニフォーム
「CLEAN&ART」が活動の際に来ているユニフォームがあります。
見た目は、白衣のような真っ白な作業着になっています。
このユニフォームを制作したのが株式会社ビームスであり、この会社に所属しているインタビューを受けた中村 尚史(なかむら ひさし)さんとの交流がきっかけとなっています。
真っ白なユニフォームを作った狙いには、
- ボランティアという堅いイメージを変えたい
- 長く使うほど汚れていき、ユニフォームごとの味が出てくるのを楽しむため
があるそうです。
ユニフォームに関する関連記事を、以下に紹介します。
落書きか?それともアートか?
落書きを消すという活動は、街を良くしているイメージがあります。
しかし、落書きには「アート、芸術作品」という別の見方もあります。
海外では、落書きが「ストリート・アート」として受け入れられている場所もあります。
落書きを描いた人からすると、落書きを消されることは、自分の作品を消されることになります。
では、
「落書きなら消してよくて、アートは残すのか?」
「どれが落書きに分類されて、どれがアートに分類されるのか?」
このような疑問が出てくると思います。
インタビュー記事では、この疑問の答えに対して、
- 落書きとアートとの境界はない
- 落書きを消すという活動によって落書きの意味を問い、みんなで「落書き」と「アート」の境界を考えることに繋がる
と話されていました。
傍嶋さんは、「消す」人も「描く」人も、文化をつくっているという点では、あまり変わらないかもしれない、と言っています。
つまりアーティストとして、「消す」という表現活動をしているのです。
「アーティストとして壁画を描きながらも、街の落書きを消す」という傍嶋さんは、一見すると矛盾しているように思われますが、どちらも同じ意志で活動しているのだと思います。
「落書きを消せば、みんなが困らなくなる」と簡単に決めつけるのではなく、落書きを通して街の問題を認識し、
「どうすれば様々な価値観を持った人たちとより良い街づくりができるのか?」
について考えていくことが大切なのです。
最後に
今回のインタビュー記事を読んで、新しい形のボランティア活動について知ることができました。
また、どんなことにも人それぞれの考え方や価値観があり、自分の考えが絶対に正しい事なんて無いのだと学びました。
それぞれの組織や地域、文化によって答えはバラバラであっていいし、異なる価値観の人と対話をすることが街づくりの重要な要素であると思いました。
最後に、傍嶋さんは落書きを消す活動に対して、
「作業を終えたときに、みんなで何もない真っ白な壁を見たときの達成感が、また活動したくなる原動力になる」と話されていました。
何か新しいことを始めてみたい、ボランティア活動をやってみたい、誰かの役に立ちたいという人は、是非参加してみてください。
「CLEAN&ART」について、もっと知りたいという人は、以下の関連記事も見つけましたので、よければチェックしてみてください。
渋谷区ニュース
[記事URL]
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/assets/com/20200401_1_3.pdf
[発行] 渋谷区
[編集] 広報コミュニケーション課
[No] 1433