インシデントの書き方~インシデントを共有する3つのメリット~
「インシデントはどのように書けばいいのか、わからない」
「割り込みタスクをチームに共有したいが、どのように記録すればいいのか?」
医療現場やIT業界で、想定外の出来事を指す言葉として「インシデント」というものがあります。
インシデントを記録し、共有することはチーム全体として大きなメリットをもたらします。
今回は、そんなインシデントの書き方や、共有する目的について説明しようと思います。
今回の記事を作成するために拝見した参考書籍では、IT分野に関するインシデントについての知識を紹介していましたが、医療現場や他の分野の職種においても活用可能だと思いますので参考にしていただければと思います。
~参考書籍~
インシデントとは?
まず、インシデントとは何かについて改めて説明しようと思います。
医療の世界では、「患者さんに大きな影響を及ぼさなかったが、誤った医療行為を実施してしまったり、実施しそうになってしまったりしたミス」を意味します。
また、ITの運用の世界では「本来の仕事の流れを阻害する要素」を意味します。
どちらも共通することは、想定外の事象だということです。
インシデントの書き方
インシデントは報告書の形式で書く場合もあれば、インシデントを一覧表としてまとめた資料(エクセルなど)に更新していく場合もあります。
また業種やチームによって、インシデントのフォーマットや記載内容は、様々であると思います。
しかし、どの場合でも記載する内容は、ある程度決まっています。
以下が主に記載する項目です
- インシデント番号(連番)
- 件名
- 日時
- 対応者
- インシデントの種類
- 依頼者
- 期限
- 優先度
- ステータス
- 対応履歴
- 対応所要時間など
上記の項目の中で「インシデントの種類」がありますが、この種類に関しては別の記事がありますので詳しくはこちらをご覧いただければと思います。
インシデントは「5W1H」を意識して記載することが大切です。自分が知っている情報を5W1Hに整理して報告する必要があるのです。
インシデントを共有する目的は「既知と未知」を知ること
「5W1Hで書くべきなのはわかるけど、いまいちどんな風に書けばいいのかわからない。」と思われる人もいるはずです。
インシデントは報告を目的としていますが、他の人に共有する意味やメリットを知ることによって、自分がどんな風に書くべきなのかが見えてくると思います。
インシデントを共有する目的は「既知と未知」を知ることです。
まず、既知と未知とはどのようなことを指すかと言うと、
- 既知:すでに遭遇したことがある経験済み、または学習済みの事象
- 未知:初めて遭遇する事象
初めて遭遇した未知のインシデントを見つけた場合は、誰も正しい対応方法を知らないことになります。よって、インシデントの重要度も検討したうえで早急に対応する必要があることがわかります。
また、既知のインシデントだったとしても、担当者によって対応方法を忘れていたり、対応手順の確認に時間がかかっていたりする可能性もあります。誰が対応しても迷わないような仕組みを作るなどの改善にもつなげられるのです。
インシデントを共有することのメリットは主に以下の3つです。
- 未知を見つけ出し、チーム全体で対策を立てれば既知にすることができる
- 自分が未知だと思ったことが他の人が既知であることを知り、新たな学びを得られる
- 既知ではあるが対応がわからない事象について、どのように対応すればベストかを検討できる
最後に
次の記事では、チームにインシデントを共有した後に、チームはどのように行動していけばいいのかをご紹介していきます。
「インシデントは早急に対応しなければいけないタスク」と思われがちですが、全てがそういうわけでもありません。正しいインシデントの「向き合い方」をしなくてはいけないのです。
以上で、インシデントの書き方と、共有するメリットの説明を終わります。
~参考書籍~