挫折や失敗を乗り越える方法 ~将棋を学ぶことのメリットについて~
「負けを認めたくなくて、人のせいにしてしまう」
「好きなことをやっているけど、なかなか上達しない」
「試合に勝てなくていつも落ち込んでいる、自分には向いてないから辞めるべきなのか?」
スポーツや音楽、芸術などの世界では大会や試合があり、勝ち負けを競い合うことがあります。
最初は好きで始めた趣味でも、他人と競い合ったり比べられたりすることで、いつか挫折や失敗を経験するはずです。そんな時にこのまま続けるべきか、辞めるべきかを考え、悩んでいる人も多いと思います。
今回はそんな挫折や失敗を経験したときに、成長につなげるための方法を渋谷区ニュースの将棋に関する特集と一緒にご紹介します。
大切なことは、無駄に「判断」をしないことです。
将棋が挫折や失敗を乗り越えるきっかけとなる
今回の渋谷区ニュースの特集は、将棋棋士の佐藤 康光(さとう やすみつ)さんと、渋谷区長の長谷部さんとの対談記事となっています。
将棋の「聖地」ともいわれる将棋会館がある千駄ヶ谷の地域について触れながら、将棋の魅力や、将棋の今後の発展について語っています。
近年では、「3月のライオン」という漫画や、藤井聡太(ふじい そうた)さんの活躍によって、幅広い世代から興味を持ってもらえるようになったそうです。
また、プロの棋士が小学校で将棋教室を開いて生徒たちに教える活動もしているそうです。
そんな将棋について、以下の2つの魅力を話されていました。
テクノロジーの進歩により、将棋の技術を向上させやすくなった
インターネットが復旧する前は、プロの棋士の試合を見て勉強するためには、将棋会館などに赴いて、対局を観戦しに行く必要がありました。
しかし、今はどこにいてもプロの対局をリアルタイムで見ることができたり、解説付きの動画も配信されていたりします。
これにより、誰でもプロの対局を研究することが容易にできるようになりました。
またAIの進歩により、レベルの高い相手を想定した模擬練習もPCやスマートフォンから行えます。AIが思いもよらない一手を提示してくることもあり、将棋の奥深さをAIから教わることもあるようです。
これにより現在では若い世代を中心に、全体的な将棋の質が向上しているそうです。
負けを認めることで、成長するためのメンタルを鍛えられる
AIによる技術の進歩により、技術レベルの向上が著しくなってきていることも将棋のメリットですが、それ以外にも大きなメリットがあります。
それは、教育の面で、「自制心を高める」ことができる点です。
将棋では勝敗が決すると、勝った方が勝ちを宣言するのではなく、負けた方が「負けました」と自分から負けを認めます。
真剣勝負で競い合っている人たちにとって自分が負けたということは、なかなか認められない事実です。
しかし、負けを自ら認めることで敗因について分析したり、次の勝負に向けて努力したりと、自分の成長につながっていくのです。
挫折や失敗を乗り越える方法とは
しかし、負けてしまったことを引きずって悩んでしまうこともあると思います。
負けた事実を認めて成長につながる行動を起こせるようになるためには、どうしたらいいのか?
この疑問の答えになるような動画を紹介します。
その動画は「マコなり社長」というテクノロジー教育の会社で社長を務めている方が配信しました。参考動画は記事の一番下に掲載していますので、こちらもご覧いただければと思います。
動画では「悩み」を消す方法を具体的な行動に落とし込める形で解説しています。
紹介する内容は以下の2つです。
・すでに持っている悩みを消す方法
・落ち込まないようになる方法
上記の2つについて詳しく説明していきます。
今すでにある悩みを消す方法
すでに抱えている悩みを消すためには、紙に手書きで自分の感情を10分間書き出すことです。
紙に気持ちを書き出すことで、なぜ悩みが消えるのかと言うと、ネガティブな感情を頭の外に吐き出すことができるからです。
そして、目に見えない感情を「文字」と言う形で可視化することで自分の気持ちを客観視できます。客観視することは冷静さを取り戻すことにつながると言われています。
紙に書いた内容は誰にも見せないものなので、思い切ってありのままの気持ちを書き出してみましょう。
また、「これから自分がどうするか?」という内容を含めると、改善のための行動を実行しやすくなります。
悩みが湧き出てくる度に、繰り返し紙に書き出してみましょう。
落ち込まないようになる方法
そもそも落ち込まないようになるためには、「判断」をしないことです。理由は、人が悩む原因は「判断」をしているからです。
例えば、ある人に対して好き嫌いを判断したとします。
人間の判断は、あくまで個人の意見であり、絶対的に正しい解釈ではありません。
人は、個人的な解釈の上で好き嫌いを決めた段階で、その考えに「執着」を持ちます。
この「執着」はいつしか悩みにつながります。
例えば
「嫌いな同僚が、皆から評価されている。」
「あの人は仕事ができない、やっぱりこの仕事の対応も遅くて困るなぁ。」
こんな気持ちになった時、人は嫉妬や苛立ちを感じて悩みを抱えるはずです。
自分の考えが正しい、間違っているかにかかわらず「執着」してしまった時点で、いつしか悩みにとらわれてしまいます。
それでも人は、判断することをしてしまいます。なぜなら、決めつけてしまった方が、理解する努力や分かり合う努力をしなくて済むからです。要するに決めつけてしまった方が楽だからです。
悩みの原因が「判断」することであると踏まえた上で、私たちは毎日多くのことを判断していると思います。
具体的には、ネットのニュースやSNSの誰かの意見や批判に対して、「この人は悪い」「この考え方は間違っている」などの判断をしていないでしょうか?
ネットから多くの情報を入手できる昨今では、人は判断すること自体に慣てしまっているのです。
なので、なるべく自分にとって有益な情報以外は頭に入れないようにし、自分にとって必要な情報だけを判断することが大切です。
将棋の試合で敗北したという事実に直面しても、「自分はどうせ才能がない」や「自分に将棋は向いていない」という考えは自分にメリットのない「判断」となります。
また、試合をする前から「自分は試合で勝たなければいけないんだ」と思っていると、「執着」していることになり、負けたときに悩みが生まれてしまいます。だから、「勝っても負けても何かを学び取ろう」という考えを持っていれば、自分にとってメリットを与えてくれるはずです。
最後に
誰かと競い合って負けてしまったときは、悔しさや悲しみなどのネガティブな感情が湧き出てくるはずです。それを感じてしまうこと自体に問題は無いのです。
しかし、湧き出てきたネガティブな感情を自分の判断で間違った方向に膨らませてしまうことに問題があります。
なので、感情はありのままに受け入れることが大切だと思います。
将棋は自分を律する習慣がつくと佐藤さんは話されていました。
試合で負けたときに、「もう勝てないかもしれない」「自分には才能がないのかもしれない」という考えがよぎるのかもしれません。
しかし、「負けました」と言うことで、ありのままに自分の感情を認めることができるのかもしれないと思いました。
渋谷区ニュース
[記事URL]
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/assets/com/20200101-1-2.pdf
[発行] 渋谷区
[編集] 広報コミュニケーション課
[No] 1427